low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

宇部でライブ、そして友人の結婚を祝いに高松へ。

 

11月23日 煙吐きの街、宇部に居た。前の晩遅くまで飲んでから深夜2時に京都を出発。ファイターが一人で運転を完遂し、早朝の宇部に降り立った俺たちは漫画喫茶の駐車場に車を停める。店に入って休む者と車で眠る者に別れて(こんな時大抵いつもファイターとNJは店へ行き、俺と豪は車で眠った。この日も例外じゃない。)一日が始まったばかりの宇部の街で俺たちは愚鈍だ。2〜3時間ほど眠ってからライブハウスの方へ歩いて向かった。夏のこの街しか俺は知らなかった。冬にはその廃退的な景色がより一層際立つようで、それはそれで俺の雰囲気を盛り上げた。それにしても寒い。聞けば全国的にも冷え込む週末だったらしい。二日酔いの胃にホットコーヒーを流し込み煙草を吸う。ちらほら知った顔が現れて来た。時間は正午過ぎ、イベントは始まった。俺の出番は夜21時頃を予定していた。

------薄暗な畳の部屋で叩き起こされる。NJだった。さぁ、帰ろう。んん、、、俺は何か声を漏らしながら起き上がったと思う。高松市中心街にある料亭''二蝶''の一室だった。この日はNostalgic four past and Cigarette end./MOTHERのvo.コージの結婚式だった。披露宴で飲みまくって使い物にならなくなった俺とファイターは料亭の仲居さんに部屋を用意して貰って眠っていたんだ。式は昼間、日本庭園の広がる巨大な公園で厳かに執り行われ、彼らは確かに夫婦となった。その二人の背には池が広がり、べったりと張り付く緑色と水面の光が時々に反射するのを俺は見ていた-----

宇部は芯から冷える寒さだった。車と会場を行き来して缶ビールをひたすら飲んでたが、あまりに寒いので一向に酔わない。不思議だった。初めて訪れた5年前からこの宇部という街には変わらない印象がある。インダストリアルでノスタルジーな場所。中学生が成人しようかという年月が経っても街の寂しさは変わらないようだった。このイベントにはSOOZOOも同行していた。俺はツーステージ。山口へ向かう途中、SOOZOOの車がパンクするトラブルがあった。他にも色々細かなトラブルに見舞われたらしく

、SOOZOOの皆んなは随分疲れたと思う。seiryuは宇部の生まれで、故郷でのライブだった。幼馴染のふっくん(俺も彼とは大学の同期で知り合いだった。)に一曲ギターを弾いて貰い、たじろいながらも良いギターを弾き切った彼に拍手を。出番最後のピアノガールが終わったのは22時だった。打ち上げの飯が美味かった。普段打ち上げでは飯を食わない俺もこの日は沢山食った。昔知った人たちと確かめ合うように会話をする。関西より西の人間が多かったので話し言葉に懐かしさも感じた。時間は経過し、もう出発の時間だった。月明かりと古い街灯に照らされた表通りでお別れを言い合う。俺たちは四国を目指さなくちゃならなかった。

-----香川県高松市屋島風呂屋に着いたのは朝6時を前にする頃。健康ランドとは名ばかりに荒廃した不健全な雰囲気の風呂屋。俺はここの駐車場で寝たことはあったが中に入ったことは無かった。NJの話では行き場を失くした老人がゾンビのように館内をうろつき、そこら中の床で死体のように眠っているという。死体で埋まった館内で領土を失った者は自販機の上に毛布を敷いて眠っていると。そんなことってあるか。俺は心底可笑しかった。大浴場は天井高く、温水プールもあった。少年が一人遊んでいる。俺も彼の見真似で泳いでみる。それからはゆっくり温まって髭を剃った。昼から結婚式に出るんだ。強く剃り過ぎて口周りから何箇所も血が吹き出てくる。酒と風呂で火照った身体に血が廻ってるんだな。風呂屋を出て市街まで行き車を停めた。集合時間の10時まであと2時間ほどある。少し眠ろう。

-----遠い街から呼ぶ声がする。それぞれのプライドや価値観を持ち寄って人が集まる。宇部、高松、そのどちらにも距離があり、それを縮めるのはヒトの心だ。今までも必ずそうだった。それなのに何処かよそよそしかったり、塩辛い気持ちがあったり、俺たちはまだまだ人間臭い。思い出の後には感謝を。全部燃え尽きても、生きていたんだもの。続く限りはまた会えたらいいね。誰と出会っても、俺はいつもそう思う。

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無題

小雨と冷気の中を帰った。11月13日の深夜3時を回った頃。今日のことを少し記録して眠ろうと思う。

夕方、tedの祖父の見舞いに行った。車で一時間半ほど、近江八幡の病院へ。病院は茶色い壁が印象的な綺麗な建物で、まるでホテルのようだった。看護師も若い人が多く活発な雰囲気。義祖父は心臓の病気で入院中で、先の手術は成功だったという。病院生活で力は弱っているようだが、元気そうでなによりだった。義祖父の食事の間俺たちはロビーでコーヒーを飲んでた。俺は煙草を吸いたかったが敷地内全てが禁煙で諦めるしか無かった。ピアノが鳴り始める。見ると仕事終わりの研修生(研修生というのはあくまで推測だが)が一人黙々と鍵盤を叩いている。ロビーに置かれたグランドピアノだった。知らない曲だったがジャズポップスのような陽気な曲。閉院時間が迫った人気のないロビーに鳴り響くそれを俺とtedはただ自然に聴いていた。義祖父にはコンビニで買ったどら焼きを渡し、見舞いを終えた。帰り道、国道は多くの帰宅する車で埋めつくされ、きらきらと輝く一本の長い帯のようだった。京都に着いてから俺はSOOZOOのレコーディングへ向かった。あの空へ、という曲を録った。seiryuが自身の義理の父を唄った歌だという。

翌朝は11時に起床。最近の傾向として朝飯を食わない方が調子が良いんだが、見ると昨夜ラーメン屋から持ち帰った唐揚げが机の上に。レンジで温めて飯と一緒に食った。13時前に出勤。いつものように缶コーヒーを買って煙草を吸う。今夜仕事終わりに予定は無い。家に帰って歌詞でも書こうかという気分でいる。

 

無題

11月8日 仕事は休み。9時頃に起き出す。押入れから炬燵布団を出して二階のベランダで干すことにした。しかしよく見ると猫の毛だらけでどうしようもない始末。粘着テープを転がしてみるが途方の無い有様。うん。一旦干して、それから考えようと思う。飯を食って粉コーヒーを作り机についた。久しぶりに本腰を入れて曲作りを始めた。そうだ。この時間が俺には大切だった。どうも最近調子が出なくて欠伸ばっかしてたけど、制作の時間こそ俺を炎の中へ連れてくれる。ガキの頃から俺は一人で作った。響きは頭の中にあって、言葉は燃えるように。欲しいものを自分で作ることは当たり前で、一切の疑問や他からの影響は無かった。自分が作った曲を初めて人に聞かせた時のことは今でも覚えてる。反応は悪くなかった。そいつにはベースを弾いて貰って、三年間バンドを共にした。制作ノートは全て保管している。見返すと、今でも面白い。今、本来の姿に立ち返っている気がする。格好良いことは何も無い。俺がどう生きて、誰と話して、どんな景色が忘れられないか、だけだ。そしてそれも全て忘れていくだろう。すっかり冷めたコーヒーを飲んで、またペンを握る。

翌日に居る。雨だった。少し早く行って刷り場で一息入れた所。薄暗い部屋で煙草を吸ってコーヒーを飲んで、ぼうっとしてみる。音楽をかけた。昔whoopee'sで働いていた時事務所から借りてそのままになってるCD。ジャンクなエレクトロで一曲が20分くらいある。退屈な音が気持ち良い時もある。

日付は変わって今は11日だ。部屋の灯りを消して、眠る前に書く。今日ドイツに居る友人に電話をした。昼にかけたが不通で、時差を調べると向こうは夜中の4時だと知る。そりゃ出ねぇわな、と詫びのメールを入れる。しかしそれから1時間ほどして友人から折り返しがあった。「よう。」本当に何年も話していなかった奴だが、昔から一言目はいつもこんな感じだった。えらく早いな?今日は出張で早起きなんだ。彼は言う。用件を伝えて10分ほど電話をした。多分彼は身支度をしながらスピーカーフォンで話していたと思う。ドイツは行ってみたい国の一つだ。規律と伝統と贖罪の国。ビールは常温で飲むらしいが、そんなの正気だろうか。

無題

11月6日 帰宅は22:30。仕事の内容としては、別段代わりはなかったが精神が興味を失っていた。夕方なんて酷いもんで、身体も怠くて欠伸ばかりしてた。俺は思った。やはりこの世の全ての事象は自分次第だ。巨悪の手のひらの上、踊らされる人生において、不条理なことはどうせ見えないようになってる。それなら自分の手足に力を入れて歩くかどうか、だ。仕事が終わって、知り合いに話しかけられる。もう帰るの?俺は確かに帰る様子だった。が、少し彼らと会話を始めてそのまま煙草を1本巻き始めた。すると次は椅子に腰掛ける。コップ一杯の水も飲み始めた。本当に、時間にすれば10分も無いその間に俺はこの一日に意味があったような気になってくる。大袈裟だとは分かってる。でも?本当にそうだった。虚無だった一日に、その終わりに、人と話すことは偉大なことだった。

11月7日 9時過ぎに起き出す。この日も仕事は14時30分からだった。それまで溜まった洗い物をして(最近よくコップを割るので慎重にやる)洗濯も済ませる。洗濯機に鋲が一つ落ちていた。多分さっき洗ったシャツに付けていたやつだと思う。鋲を見るとどうしてこうも反抗心が湧き上がってくるのか。何でもない午前中の中庭で一人肩を強張らせたところで、と俺は面白くなってしまう。最近曲を書きたい気持ちが強くある。だが実際にこうしてるとギターを触る気は起きてこない。器量が小さい俺はまとまった時間が無いとどうもやる気が出ないようだ。煙草を吸っていると猫二匹が暴れ始める。今日も元気に昼を暴れて、疲れたら眠り、飯を食い、夜にもうひと暴れするだろう。まるでツアー中の俺みたいだと思った。

 

新宿の記録

10月が終わり京都は首尾よく冷え込んできた。盆地の深とした季節が始まろうとしている。もう何日もすれば街は冬枯れていくだろう。昨夜詩を書いてみた。ここ最近俺の中に居た気持ちを確かめてみるように書いてみるが、全く言葉が出てこない。そしてすぐにやめた。子どもが興味を失うスピードで。まだ出てこないようだ。

0時を過ぎた頃、東京へ向けて出発。直前まで豪は自分のパーカーにシルクスクリーンを刷ってた。俺は運転しようかという気分だったが、結局いつものように先発はファイター。後発はNJという話に。そしていつものように俺と豪は缶ビールを飲み始めた。今は三重県辺りを走ってるようだ。俺は二列目で横になってこれを書いてる。新宿NINESPICESは6年ほど前に一度行ったことがある。その時記憶に残るのはcurveのライブだった。自分の出番を前にしてヒトのライブで感動した経験はこの時が初めてだった。ライブは色々情報が多いが、そもそも音自体にとてつもない力があるんだとはっきりと認識させられた。酒が入ったせいか少し車酔いしてきた。また書く。

11月3日。京都の我が家に帰って来た。朝5時30分。まだ外は暗い。風呂を沸かす間に続きを書き進める。

早朝の新宿で餃子屋に入り一杯やってから俺と豪以外はインターネットカフェへ。俺たちはコンビニで酒を買って車で再びやり始める。歌舞伎町の駐車場は立ち小便の海でそこら中に嫌な臭いが立ち込めていた。窓を開けて煙草を吸っているとつんと鼻を刺すんだ。こんな糞みたいな場所を宿にするのは面白かった。小便の臭いは鰹節の臭いに似てると豪が言って、また俺は笑う。やがて俺たちは眠りに落ちて、多分それは9時を過ぎた頃だったと思う。

玄関扉が激しく開いてチーコが帰って来た。職場の上司と朝まで飲んでたという。彼女は結構酔ってる様子だ。一杯飲む?風呂が沸くのを待ちながらこれを書いていた俺は少し考えてから、うん、飲もうか。俺たちはお互いのことをゆっくり話しながら、明るくなっていく窓の外を見ていた。

ライブの前、新宿の通りを散歩していた。寒い。ジャケットのボタンをとめる。缶コーヒーを買う。偶然、知った人が歩くのを見つけた。声をかけようかと思ったがやめておく。通りは当たり前のように騒がしく、まるでそうしていないとダメかのようだった。俺はこんな時いつも京都の街を思い出す。自分の家を。いつもの部屋で眠りたい。人は思い思いの方向へ歩いてゆく。誰とも出会えやしない。

打ち上げの途中で俺たちは帰ることになった。俺は何度もありがとうと言った。その一つ一つに理由はしっかりあった。忘れた頃に再会する人たち。これからもきっとそうだ。何ていう名前だっけ?久しぶりだね、少し痩せた?高速に乗る前、マクドナルドで腹いっぱい食って俺たちは京都へ向けて走り始めた。機材車はスピードを上げたら変な音がする。この音が俺は好きだった。

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無題

玄関扉が開いてよく通る大きな声がする。すみませんー!俺は二階で眠っていて、聞こえないふりをする。すみませんー!!二回目も俺は無視。冷えてきた朝に寝不足もあってイラついてくる。すみませんー!!!三度目の声が聞こえると同時に飛び起きて下に駆け降りると、玄関にヘルメットをした赤ら顔の男が立っていた。何?俺はあからさまに不機嫌な調子で言う。工事で今日の午前中ガスが止まるのでその報告です。男は言う。それも玄関でする会話にはそぐわぬ声量(最初に書いたように男はよく通る声質なので余計にうるさい)で言う。俺は一度ため息を吐いて、答える。(男に静かに話させる為、俺はわざと小さな声で喋る) それは前に一度聞いたし、昨日はその旨が書かれた手紙まで置いてあったから分かってるよ、いちいち起こさないで勝手にやってよ。男はこれまでより一段とデカイ声で、そうですか!すんまへんなぁ!と。俺は彼が扉から出て行くのを待たずに背中を向けた。ガスが止まることは知ってたので風呂も昨夜のうちに入っておいたし、朝飯も食わないつもりだった。全部分かってた。のに、寝起きで知らんおっさんの馬鹿でかい声。全く気が滅入るね。おっさんも仕事熱心は良いが判断能力が欠けていたらつまらんよ。まぁ実はおっさんが泥棒だったとして、この家の生活パターンや間取りを把握する為こうして何度も家を訪ねていたなんていう結末だったら面白かった。んなことを考えていたら段々と目が覚めてきた。出勤までまだ5時間ある。

この行から11月だ。今夜仕事が終われば新宿へ向かう。ツアーは折り返し。折れた肋骨は大分マシだがライブをする度にまた痛み始める。その繰り返し。上等上等。

 

 

無題

俺が追い続けたバンドの理想像に最近やっと手が触れてきた感覚がある。各パートそれぞれに自分の内から出ようとする音があり、それを確かめ合うようにして一つの音像が出来上がる。周りの音をよく聞くとそれは呼吸や表情、感情表現の最たるものであることが分かる。分かると楽しい。空気、瞬間、その全てが手に取るように分かる。音を聞くというよりは、呼吸を感じ取るという表現が正しい。

10月23日 13時頃 玉屋ビルに居た。seiryuが風呂に入ってる間俺は部屋にあったGN'Rの本を読んでいた。アクセルローズの苦悩?孤独?好き勝手に書かれている。リズムという名のお香を焚いた。上賀茂神社では何かイベントをやっているようで、歌謡曲が聞こえてくる。ビルは何処を歩いても変わらず極彩色の青春だった。図書室(5階の一室。自販機があり、開かれたスペースになっていて住人が寄付した本で埋め尽くされている。夏の間、蚊取り線香の煙が充満したこの部屋で院生は勉強、俺は作詞、など思い思いの作業を皆でしていた部屋を俺はこう呼んでいる)に入って缶コーヒーを買って、佇んでみた。昼だったがこの部屋は夕方だった。窓からの景色が描かれた絵が壁に掛かっている。俺がいた頃には無かった絵。このビルで暮らしたのはほんの数年前だったが、もう随分前のことのように感じる。