low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

強烈な朝日が富士の右肩から容赦なく車内を突き刺している。新東名高速道路を走っている。

夜の2時に京都を出発し最初の運転はSOOZOOの聖流。今回帯同してくれている。沼津辺りで運転はファイターが交代し、車は五人の男を載せて走っている。葵は用事で前乗りしていて、あちらで合流する予定。俺は助手席でこれを書き進めることにする。今夜は新宿でライブ。

 

少し日を遡り5月3日を記録する。

theoremのギター、明和誠也さんの2周忌イベント。オールナイトでやる盛大な法事だ。

昼間は東京から友人が来ていた。

tedと3人で桂川へ釣りに行こうという話になる。

tedが握り飯を握り袋に詰める。俺は冷蔵庫にあった細うどんで汁なし担々麺を作りタッパに詰める。

京都駅に友人を迎えに行き桂へ向けて出発した。途中釣具屋で疑似餌と針をワンセットだけ買った。

その後桂駅の線路脇で一時停止無視で警察に捕まった。もうあと少しで最後の違反から一年経つところだったのに。あーもう。

桂川の脇へ車を停め、川べりまで出た。地元のおじさんが釣り場所を教えてくれる。礼を言って俺たちは草を掻き分けてゆく。

綿毛が舞う静かな水辺に出た。

一度だけ魚の跳ねる音がする。

俺たちには釣ることが目的じゃなく、釣り糸を垂らしてゆっくりすることが大切だった。

弁当を食いながら皆、川の流れを見ていた。

友人は川を背に座っていて、突き落としたくなる絵面だったよ、本当に。

たるむ釣り糸のように時間が経過し少しだけ肌寒い気温。

小雨が降ってきたタイミングで車へ戻ることにした。

そのまま俺はGROWLYへ向かう。夕方。

続々と知った顔が集まってくる。よう!元気にしてた?

WHOOPEE'S健在期に出会った仲間達。東京や香川からも明和さんに会いに男達がやって来る。

飲み始める俺たち。陽が落ちる頃にイベントは始まった。

昔、といっても俺が京都に来た9年前ほどだが、叫ぶバンドが多かったと思う。無骨な音で無愛想で、ボーカルは叫びまくってる。そんなバンドがそこら中にいた。ナチュラルにその手の音が流行っていたこともあるが。最近?もうその炎は消えかかってるね。多くはやたら愛想の良い自己喪失者達のおままごと。ヤワな音。首に輪の付いたバンド。客も見ていて面白いはずが無いのに熱気があるふりは上手。

しかし5/3、この日は面白かった。計13バンド、俺は全部見た。明和さんも地獄で見てたか?

theoremの演奏が終わる頃には外は真っ白な朝で、皆疲れた顔だが笑っていた。

先輩から授かった、良い一日だった。

 

ここからはもう新宿のライブを終え京都に帰り、家の布団で横になって書いている。

新宿には朝7時に着いたと記憶している。

いつもの通り駐車場に機材車を停め、窓を開け放ち缶ビールを飲み始める。豪は氷と緑茶を買い、車に置いてた焼酎でお茶割りを作り始めた。皆んなでそれを飲む。目の前にいかにも間抜けな高級マンションが建っていて、歩く贅肉達が出入りする。連中は例外なく俺たちを蔑視する。俺はあんたらにこそ違和感を覚えるけど?天気は良かった。五月晴れだ。どんな会話で笑ってたか全く思い出せないが、とにかくノロマに笑っていたね。車に風がよく通った。すぐ隣の公園で水浴びをした。

少し寝てから身支度を整えて搬入を済ませ、出番までのらりくらりとやった。

 

MEAT EATERSのボーカル、ジュンペイさんと四、五年ぶりの再会だった。朝階段でコケたらしく、手足を腫らせてた。患部を氷で冷やしながらあの人らしくニヒルに笑ってた。もう48歳になるという。打ち上げでは音楽の話、仕事の話、人生について、大真面目に話をした。俺は人に相談はしない。ただ大真面目な会話が出来る。シラフで人に会いたいと思えるし、頭がイカれていたくない。

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27歳の俺はようやく自分が何者でもなくただ自分そのものなのだと気付けた。そして壁。乗り越えられない壁の認識。俺とお前の間にそびえるそれはどうしたって壊せない。連中には真実でも俺には嘘。その逆もあり得る。じゃあどうする?大真面目に話をするしかないよな。本気のやつを。論破や攻撃じゃない。でもお前の中でも嘘で俺にとっても嘘なら、それは食えんな。残念なことにそれは多々。俺の肌の下では血管が冷めていく。そうして見限りをつける。

人々が離れ離れになる。