low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

福岡の記録

高速を降りたのが14時とか、その辺だったと思う。俺は酷い二日酔い、虚ろな視界にはフロントガラスを打つ雨。雨だね、と俺。今日は一日降るらしいよ、と運転手。朝6時に京都を発ち、途中宮島辺りのSAで俺は目覚めた。視界は真っ白だった。小便をして龍(今回帯同したカメラマン)と少し辺りを散歩する。海が見えた。海も俺には真っ白だった。白いガスが出ている?俺は皆んなに聞いたが、そんなことは無いと言われた。出発の時間まで飲んでたせいで目ん玉がぶっ壊れたんだと思う。福岡に着くとまず俺とNJお気に入りのラーメン屋へ。昔と変わらず美味かったが俺は余計気分が悪くなる。それから風呂屋へ向かい2〜3時間の休憩を取ることにした。この風呂屋は昔から福岡遠征の度に休息を取った所で俺には馴染みが深い。最近刺青を増やしたファイターは腕にタオルを巻いて入浴してた。透けて見えてたけれど。風呂から上がって畳の休憩所で俺は横になった。まだ身体は怠い。目の霞みは無くなっていた。ライブの日体調が悪い方が俺は好きだったりする。どうせ始まる頃には気力が勝って万全な精神力が整う。あれこれ身体のケアなんかしなくても俺はやってのける。1時間ほど眠って、ファイターが起こしてくれた。煙草を吸う?吸おう。すっかり外は日が暮れて、世の中は一日の終わりへ向かおうとしていた。が、俺たちは今目覚めた感覚の中にいた。好きな街だ。案の定、ハコに着いた瞬間に俺はもう絶好調な気分だった。

この日、俺の中に何か説明のつかない感情があった。葵とやる最後のライブだったからか?おそらくそうだろう。何からも逃げたくなかった。全てのバンドの演奏を見て、俺はこの夜に確かに存在する必要があった。他でも無く自分の為にそうした。もう長い付き合いになる後輩が唄っていた。これまで何十人ものメンバーが入れ替わり、それでも頑なにやってきた男。俺の記憶が正しければ彼は、生い立ちも壮絶なものだった。そんな彼がこの日唄う歌は俺の胸を打った。今までの野放で無差別な攻撃性に頼ったものじゃなく、確かに地を足で踏む音だった。凄く良かった、俺は彼にそう伝えた。

帰りの車は静かだった。俺は夜が明けていくのをゆっくり眺めていた。なぁ、高速道路は続いていく大河で。俺たちは流れ流れて。目指す場所なんて無いが、辿り着くことが出来る。宮島で見た真っ白な海。京都は今朝その中に居るような朝。別れに相応しい感じがした。

10月26日 福岡遠征の記録として。

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