low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

新宿の記録

10月が終わり京都は首尾よく冷え込んできた。盆地の深とした季節が始まろうとしている。もう何日もすれば街は冬枯れていくだろう。昨夜詩を書いてみた。ここ最近俺の中に居た気持ちを確かめてみるように書いてみるが、全く言葉が出てこない。そしてすぐにやめた。子どもが興味を失うスピードで。まだ出てこないようだ。

0時を過ぎた頃、東京へ向けて出発。直前まで豪は自分のパーカーにシルクスクリーンを刷ってた。俺は運転しようかという気分だったが、結局いつものように先発はファイター。後発はNJという話に。そしていつものように俺と豪は缶ビールを飲み始めた。今は三重県辺りを走ってるようだ。俺は二列目で横になってこれを書いてる。新宿NINESPICESは6年ほど前に一度行ったことがある。その時記憶に残るのはcurveのライブだった。自分の出番を前にしてヒトのライブで感動した経験はこの時が初めてだった。ライブは色々情報が多いが、そもそも音自体にとてつもない力があるんだとはっきりと認識させられた。酒が入ったせいか少し車酔いしてきた。また書く。

11月3日。京都の我が家に帰って来た。朝5時30分。まだ外は暗い。風呂を沸かす間に続きを書き進める。

早朝の新宿で餃子屋に入り一杯やってから俺と豪以外はインターネットカフェへ。俺たちはコンビニで酒を買って車で再びやり始める。歌舞伎町の駐車場は立ち小便の海でそこら中に嫌な臭いが立ち込めていた。窓を開けて煙草を吸っているとつんと鼻を刺すんだ。こんな糞みたいな場所を宿にするのは面白かった。小便の臭いは鰹節の臭いに似てると豪が言って、また俺は笑う。やがて俺たちは眠りに落ちて、多分それは9時を過ぎた頃だったと思う。

玄関扉が激しく開いてチーコが帰って来た。職場の上司と朝まで飲んでたという。彼女は結構酔ってる様子だ。一杯飲む?風呂が沸くのを待ちながらこれを書いていた俺は少し考えてから、うん、飲もうか。俺たちはお互いのことをゆっくり話しながら、明るくなっていく窓の外を見ていた。

ライブの前、新宿の通りを散歩していた。寒い。ジャケットのボタンをとめる。缶コーヒーを買う。偶然、知った人が歩くのを見つけた。声をかけようかと思ったがやめておく。通りは当たり前のように騒がしく、まるでそうしていないとダメかのようだった。俺はこんな時いつも京都の街を思い出す。自分の家を。いつもの部屋で眠りたい。人は思い思いの方向へ歩いてゆく。誰とも出会えやしない。

打ち上げの途中で俺たちは帰ることになった。俺は何度もありがとうと言った。その一つ一つに理由はしっかりあった。忘れた頃に再会する人たち。これからもきっとそうだ。何ていう名前だっけ?久しぶりだね、少し痩せた?高速に乗る前、マクドナルドで腹いっぱい食って俺たちは京都へ向けて走り始めた。機材車はスピードを上げたら変な音がする。この音が俺は好きだった。

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