low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

10月2日 11時を少し過ぎた頃。気持ちの良い風が吹き、カーテンの隙間から真っ白な空が見える。猫二匹が今日も彼らにしか分からないルールで暴れ始める。俺は、移ろう秋の空を布団の上から眺めていた。16時、仕事から帰ったtedと外出。車を玉屋ビルに停めて上賀茂神社へ向かう。(写真は神社側から見た玉屋ビル)f:id:pianogirl292:20181002220405j:imageシンとした境内、白い砂の道を歩くと石と石が擦れて軽やかな音を聞ける。そうして本堂の方へ。社務所で用事を済ませて、ふと想った。青春時代を過ごしたこの町を想った。自転車を盗まれて、逆に盗んでやった駐輪場。大して美味くもないのに美味い気がしていた定食屋。事あるごとに飛び込んだ浅い賀茂川。用も無いのにただ座って煙草を吸いまくったベンチ。まだツケが残る焼き鳥屋。凍える寒さの大晦日に鼻水垂らしながら食った大根炊き。屋上からは京都タワーが見えるんだぜ。それはロウソクのように、静かに佇む暖かな灯りさ。思えばその灯りの下で俺たちは遊んでいたんだね。それは夢想的な季節。数年もすれば忘れてしまうように儚く、不確かな季節。今は踏みしめる町。毎日の一歩に明日が繋がっている。それは否応無く。だが俺はこれを求めてたのかもしれない。夢想じゃない、ヒリヒリとした現実。その中じゃないとどうも俺は引き締まらない。気が休まると命が縮まるんだ。この感覚は、誰もが持ちながら誰もが避けてしまう感覚。

すっかり日が暮れて俺たちは近所の飲み屋へ行く。もう上着がいるくらい寒かった。日本酒をやり始めた頃にNJが来る。見舞いに巻き煙草を買って来てくれた。バンドのことなど、あれこれを話す。決して後ろ向きな発言をしない彼と話すと俺も勇気が出る。能天気な俺、気分屋の俺、臆病者の俺、全部の俺に付き合ってくれるかい?2つの銘柄を一合ずつ、どちらも京都の酒を飲む。骨折してるせいか骨に染みて美味いような気がする。店を出ると神楽坂を登って家を目指した。飲み屋が数軒連なる通りで少し飲んで、帰り道に登る神楽坂(そういう名称の坂)が俺は好きだった。途中斜めに民家が建ち並び、背伸びするようにして見ると屋根の向こうに西の街が見えるんだ。俺は酔っ払っていて、そこで尻を出して写真を撮ったりする。すると更に気分が良いんだ。