low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

休日を記録。

7時からNo Funのスタジオ。気が狂いそうなほどの早朝。家を出る頃はまだ暗かったっけ。固い首をぐりぐり回しながら歌い始める。ここ数年で自分の歌の出所が分かってきたみたいで、ものの数分でイメージが駆け巡るようになった。10時終了。新曲をラフに、手応えもアリ。

それから午前中の光が差し込む3階の食堂跡で1時間程煙草を吸う。theoremも練習だったようでガクさんと会う。少し久しぶりな感じがする。さて俺は家に帰ることにする。

帰宅して鯖缶とトマト缶をごちゃ混ぜにしたパスタソースを作り、冷蔵庫でしなしなになった大葉を刻んで散らす。そら豆の豆苗もぶち込んでみた。デタラメな料理ほど俺には美味い。俺は寝不足で身体が重たい感じがする。ノロマに布団を被ってみたら電球が切れるようにすっと眠れた。起きたり眠ったりを繰り返して16時頃に目が覚める。

歯医者から帰ったtedと近所の八百屋とスーパーへ買い出しに出た。日暮れる直前の空と先を急く人々。散歩中の犬とだけ目が合う気がする。俺たちは歩きながらこの街のことを話す。ハワイ好きな夫婦が営む焼肉屋があって、薄暗い看板のバイオリン教室があって、とにかく洗練されたように見せたいパン屋やカフェが背比べをしている。それはこの世の軽薄さを陳列しているようで笑えてくる。俺は犬とだけ目が合う気がする。

19日の記録をしていたが今はもう22日に居る。15時半。仕事をしながら熱い緑茶を飲み煙草を吸い、いつも通りかな。最近新しい煙草屋を見つけて、繁華街へ出ずとも出勤前に寄ることが出来た。それも店内で酒も飲めるし煙草も吸えて、ちょっとした立ち飲み屋のような雰囲気。どうやら主人の母親と思しき老女が店番で、まだ40代程の主人は営業や配達で外を出回っているようだ。昨日も煙草の葉っぱを買いに出向くと老女が一人店番をしながら米の選別をしているようだった。米屋も伴っているみたい。

こんにちは。いらっしゃい。寒いね。そうですね。俺は必ずここで一本吸うようにしている。ゆっくりしていきや。老女はいつも言う。俺は出勤の時間を少しだけ気にしながらもう一本を巻くことにする。

入り口に扉は無く開けっ放しの店内には冷たい風が吹き込む。冬らしい薄紅の頬が通りを行き、配達のトラックは世間話も連れて出発するだろう。そういうものを見ると気忙しくも妙に心落ち着く感じがする。これが日常こそ詩だと俺が思う由縁だ。

さて俺も仕事か。自転車を漕ぎ始める時老女はわざわざ表まで出てきて、気をつけてなぁ、と笑顔で。一見少し粗暴な感じのする小汚い婆さんだがきっと温かい人だ。俺個人としては世間がどうなろうと世界がどうなろうとそこに小さな温度を見つけられる内は面白可笑しくやってやろうと思う。2021年と文字にすると凄まじい隠世感があるな。でもしょうがない。存在してしまってるんだから、俺もお前も。なんだこの気味の悪さは。