low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

17時半に駅前の居酒屋を出て、店先で一本煙草を吸ったら出発した。家に帰るだけだったが小雨の降る濃紺の空の下を行けばまるで目的地なんか無いような気がする。

この二日間は録音をしていた。ラモとアマネと桃歌と。それぞれの楽器のエネルギーや迫力や、表情が見えるような音が必要だった。彼らの演奏を聴きながら俺はついつい煙草を吸い過ぎてしまう。目を瞑ってその一瞬一瞬をこの先何年も忘れないような音だったり、イメージの話は脳指令より速く手先に伝わるかもしれない。ナイスプレイ!

''イメージ''という言葉が俺はずっと好きではなかった。多分自分の限界を感じる気がして嫌いだったんだと思う。だが俺はもう光の中へ吸い込まれたことがある。青空を自由に飛び回ったこともある。連れていってくれるのはいつも自分達の音楽だった。イメージを超えていけるようになってやっとこの3文字を揶揄無く口に出せたのかもしれない。

録音が終わると二日とも同じ居酒屋へ行ってほんの少しを飲んだ。空虚な駅前の(そう感じさせるのは冬枯れた桜の木が堂々と立ち並ぶからだろう)通りを一本過ぎた所にその店はあった。''場所''というのは実在をくれるという点に置いてとても頼もしい。小難しい話に聞こえる?いつかこれを読み返す俺がヘラヘラ笑ってるのが目に浮かぶ。

27日の日付が変わろうとする夜、こんな取り留めのないことを書きながら傍の寝息と時計の音だけが聞こえてくる。夜にも色があるだろう。どうやら今夜はとても暗く、深い。朝飯から今まで何も食ってないことに気付いたがもう眠ろうと思う。街では誰が何て言ってた?全てが好き勝手に進んでいくだろう。自分のことが流木のように思えてくる。悪い感じもしなければ良い感じもしない。場所が実在だと俺は言うが簡単にそれが奪われることも知ってる。本当は、時間が経つということだけが頼もしいのかもしれない。

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写真は昔一緒に暮らしていた猫と久しぶりに再会して撮った一枚。彼女はいつも霧雨のように静かだ。