low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

5月の始まりの日。

ある程度のことなら、まぁ誰だってやってのける。まだ文字も書けない子どもが叫ぶ。ウマそうなメシ!母親がその汚い言葉使いを叱る。ある程度のことは、例えそれが人から聞いたことでも、その写真を見ただけでも、まぁそれなりの感想を持ってしまえる。そういう奴らが100人居て、彼らが100人乗りの車に乗って崖に突っ込んでいくような時代だ。ガードレールがゴールテープのように引き千切れる。多分俺はそれを道路から見てる。俺には感想が生まれない。ある程度のことばかりを見せられてコンビニにも行けず、感想など何も無い。

No Funに新しく濃和田というメンバーが加入した。パートはパーカッション。ラモと合わせてダブルパーカッション!さすがにスネアが3台も鳴り続けるスタジオは頭がぼうっとする。俺はだいたいいつもPA終わりで練習に参加するので耳は限界を主張する。彼はF.Pというハードコアバンドでドラムを叩いている。ある夜、電話がかかってきた。

秋さん、俺ノーファンでパーカッションやりたいです。

つい1時間前まで一緒に通りを歩いていたのになんで電話なんだろうと思いながらも俺はとても嬉しかった。

14:00 丸太町橋の東詰 駐輪場の柵に腰掛けて缶コーヒーを飲んでいた。それから皆が集まってくる。日差しが降り注ぎ風が涼しい午後だった。5月の始まりに相応しい日だ。

夕方にはイベントが始まって、俺もテキトーに酒を飲みながら楽しんだ。日付が変わった2時頃には自分の出番も終わる。外に出て自販機で水を2本一気に飲んだ。

明け方4:00 冷たい雨が降っていた。コンビニのベンチで多分今夜最後のハイボールを飲み始めた。TEMPLEの豪とDr.の堀クンも一緒に。何もわざわざ喋らなくて良い気がしていて俺たちは静かだった。スズメが飛んできた。濡れてベチャベチャになったパンクズか何かを食ってる。真夜中に、それもこんな雨の中にスズメを見たのは初めてのような気がする。

''ある程度のこと''が世の中を安心させ人々の共感を生む。それを糞みたいだと気付いた者だけが眠らない。俺はあらゆる彼らの独り言の日記や鼻歌を聞いてみたい。いや、それすら実は興味は無いかもしれない。こうして訳の分からないことを書き残すのも何の為でもない。

3日ほど前だったかな。仕事が終わって夜中を歩いていた。御池通り、半円形のベンチに座って木を眺めてみる。活動を終えた街と、戦闘終了の人々。顔には疲れが見える。俺は金色の缶酒を飲みながら煙草を吸う。木を眺めていると風の気持ちを知りたくなる。