low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

3月に入ってからずっと喉の左奥が痛む。唾を飲み込んだり熱い味噌汁をすすると激痛で、不思議と歌はなんともない。声が出なくなる絶望を知っているので早目に診てもらおうと思い近所の病院へ。

結果、声帯は何も問題ないとのこと。左奥のなんたらって箇所に強い衝撃があって炎症を起こしてる。呂律の回らない高齢の医者がそう言う。こちらの発言を遮るように喋ってしまう癖があるようで、俺の話はあんまり聞いて貰えない。とにかく声帯とは関係の無い場所だから歌は大丈夫とのこと。

ハードなのやっとんのか?

まあ、はい。

兎に角、煙草を辞めなあかんよ。アンタまだ若いけど、煙草は良いこと一つも無いよ。

爺さん先生は何故か満面の笑みでそう言う。俺も可笑しくなってウヘヘと笑った。

声の出し方とか、これまで破滅的独学でやってきたのでとうとうツケが来たかと覚悟してたがとりあえずは安心出来た。実際この数年で確実に強い喉になったと感じていたし、やはりデタラメな独学で破滅的にやるのが俺には合うね。

14:30 家を出てnanoへ向かう。この日はライブだった。

途中寄った花屋は近所に新しく出来た悪趣味な感じの店で、値段も全体的に高い。派手好きの目に止まるよう大層な客寄せの花たち。空疎だ。花たちは美しいはずなのに人間の手が加わって空疎になった。夜間にライトアップされる城や寺も同じく虚しい。そしてそれを写真に収めようと必死な生き物がウジャウジャいて空っぽな世界の完成だ。

ライブが終わり二階で打ち上げが始まる。俺は何故か体調が悪くなっていて外の喫煙所で煙草ばっかり吸ってた。一人でこうしていると同じように一人で吸いに来た誰かと自然と話し始めたりして、俺はそんな静かな会話が好きだ。まだまだ冷える夜だった。

そうそう、この前の昼。桜の写真を一枚撮った。スリランカで働く先輩に毎年日本の桜の写真を送っている。

並に死ぬとしてあと50回程しか桜を見れんよ。

彼が昔そう言ったのを俺はなんだか忘れられないでいる。

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