low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

眠る前に腹が減ったかも。夜、コンビニまで行く通り。車高の影からこちらの様子を伺う野良猫たちが居る。空に台風の予感が有る。目が合うと彼らは警戒して決して笑わないんだ。本当のことは恐怖の中にだけあるって、俺もそう思想する。吹き荒れる風が眼鏡の横に垂れる髪の毛を乱して、今日も一日疲れたなーと見上げると頭上には青くて赤い月!

その下に居る俺たちは金が無いとか心配事だらけだとか、好き勝手言う。当たり前、その言葉に音楽は聞こえてこない。だが、そういうのをドラムやベースに世話して貰うと面白かったりもする。

時代性というか、時の経過でしっかり古くなったりダサくなったり、変に若作りせず一汁一菜な生き方。風に当たり日焼けし自分の指で頁を捲る日々。それを忘れてしまっては偽善的で薄情者で皮膚なんかいくら塗りたくったって全て剥がれ落ちるだろう。

飼い犬が死んだ日の朝を思い出している。彼は茶色いくて小さくて騒がしい生意気な奴だったが、一緒に町を駆け回ったり炬燵の中で眠ったり、彼についての歌を姉達と創作して歌ったこともあった。三拍子で、栗の木がどうたらとかいう詩だったと思う。死の年、俺は京都で本当に好き勝手やってた。その日に広島から訃報があり朝一の新幹線で帰った。二階の寝室で薄い毛布に包まれた彼と久しぶりに会う。垂れる汁を拭うため鼻にはティッシュが添えられ四肢は枯れ枝の様に痩せ細り、カーテンの隙間から刺す朝の光に幻惑されるようだった。俺は訳の分からんTシャツを着てて、ティッシュの箱を握りしめてた。8月の暑い日。それから田舎の小山に埋めて粗末な石を置いて目を瞑った。そこからは田んぼの青々とした稲が海のように波打つのが見えた。彼の小さな墓標は不自由なことなんて何も無い様子で、石としての冷たさや静けに諦めるようだった。俺は山火事にならないよう、携帯灰皿に吸殻を突っ込んで、下山した。