low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

しばらく書いてなかった。京都の本格的な寒さが始まり俺も誰もポケットに手を突っ込んでばかりいる。夜、一人で歩いて家に帰ってると同じように酒を飲みながら下を向いて白い息を吐く男とすれ違う。繁華街は気忙しく住む町は寂しい。いつだったか、何でもない夜。俺の小さな家の小さな台所の小さな机でtedと話してた。なんかさ、俺の話聞いてくれんかな?しょうもない愚痴みたいな話やけど。そう言って俺は喋り始める。煙草を数本、換気扇をつけたり消したりしながら喋る。

苦手な空間ってのが誰にもあると思う。俺の場合、表面的な会話や愛想でぼんやり成り立つ空間。永遠に信号待ちしてる気分になる。でもそういう自分の極私的な感情は死角に置き、その空間に涼しい顔をして留まったりも出来る。可能性を潰す行為は悪だと思う。

道路は封鎖される。

航空券をロストし宿も無い。

太陽は沈みそうにない。

宗教家の女が二人メガネの奥で笑ってる。

俺は駅前に座り込みアイスクリームを食う。

靴擦れが痛む。

音量が上がるにつれ祭りの客達は制御不能だ。

そば屋の娘は窓から身を乗り出して笑っている。

俺は潮風で錆びたバスに乗る。

看板だけが残ったダンス教室。

嘉手納から何キロも永遠のような有刺鉄線。

米兵と遊ぶ子ども達。

子どもに罪は無いが、また恐るるべきも子どもだ。

いいかい、これから世界がどうなろうと自ら毒を飲まないように自分の意思だけで生き抜けるから。

信じたこと、いつか信じられなくなるかも。

それを受け入れられるように今は強く信じよう。

その時、曲がり角を曲がれるように今は全身全霊突き進もう。

俺はまた寒い寒い京都の街に帰って来た。なぜそうしたか分からないが去年の沖縄を思い出していた。コップ一杯の白湯を飲み身体を温め布団にもぐり込む。これを書き終わる頃には多分toeが起き出して俺はまた寒い台所の明かりを点ける。