滑走の季節、12月を終わらせよう。俺は暇さえあれば隅っこに隠れた猫を捕まえる遊びをしてた。21日 大阪で映画の撮影。tedと車で向かった。行きは俺が運転をする。京阪間の下道は糞ほど混んで、結局3時間ほど運転して20時半に到着。爆弾ハウスと呼ばれる撮影陣のアジトへ招かれた。アフガニスタンと日本のハーフ、爆弾と呼ばれる彼は腰まである髪の毛と独特な知識を蓄えた面白い奴だ。ハウスは薄暗の洞窟のような部屋で爆弾は女と住んでた。女とも俺は友達で、名をvoidと言う。演技、ダンサー、ドスの効いた黒いカリスマ性を感じる女性。部屋に着いてすぐ彼女自家製のブランデーチャイをご馳走になった。大量のスパイスを独自の配分で入れたブランデーで、一口飲むとケツの穴からビシっと酔っ払ってくる感じ。美味いね。ビールと交互にそいつをやった。煙草を吸いまくった。煙草も美味かったからね。撮影に関しては特に書かないでおく。完成を迎えたら必ずピアノガール側からも宣伝をしようと思う。日付が変わる頃に場所を変えて、川に隣り合う公園へ出た。都会的な景観と、誰かが拾い忘れたように散らばる落葉と、そのアンバランスの中に俺たちは居た。大阪らしい街だと俺は感じた。その多くを知らないがそう感じた。役者のヨウスケという男は息も白い空気の中ずっと裸だったから今頃風邪を引いてるかもな。彼の内にも表現を感じた。表現を感じるということはその者に通う血を見ることと同意だ。爆弾もvoidもヨウスケも、そして彼らをまとめる天使弾道ミサイルとも、俺たちは寒空の下で色々なことを話した。tedも寒さで頬を赤く染めながら話してた。俺個人としてはこんな風にして誰かと話すのが久しぶりだった。様々なことに答えを出し切ったような気がしていた俺。いや、今のところ答えは俺の中に確かにある。そうだ。考え続けることが出来そうな気がしてきた、と言う方が正しい。ブランデーチャイは温めても美味いだろうし、世界中から戦争が無くなることは絶対に無い。日本が素晴らしい国になることも無いだろう。素晴らしい?そもそも素晴らしいって何だよ、時折阿保な俺。気張ってやろうぜ、そんな呪文だけが聞こえてくる。帰り道、俺は酔っ払っていたし、tedの安全運転で京都まで帰った。こんな時フロントガラスを駆け抜けていく風景が俺には忘れられないものだったりする。
翌日は9時に出勤。19時には仕事は終わり23時からのスタジオまで俺は何かしたと思うが、、何をしたか思い出せないでいる。