low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

#いのちを洗ったな

3月14日 10:00 出勤前に風呂を溜めていた。半分もいかないくらいで異変に気付く。湯が出なかった。色々調べたがどうやら給湯器の故障のようでお手上げな感じ。一酸化炭素が漏れ出したという警報も鳴る始末。とりあえず業者に電話をして到着を待った。その間に俺は浴槽に少しだけ貼られた湯に浸かってみた。電気ケトルで沸かした湯を何杯も注ぎながらやったがどうにも少ないし冷たい。テレビで見る貧乏生活のようで面白い。なんとか髪も洗って身支度を整える。大阪ガスから来てくれた二人は丁寧で迅速な対応。しかし修理か交換になるのでガスの復旧は数日かかるとのこと。

22:30 仕事から帰宅。tedと烏丸御池風呂屋へ向かう。少し距離があるが風呂屋へ行くには徒歩が良い。近所にもう二軒あるがどちらも定休日と営業時間の関係で閉まっていた。夜だがもうさほど寒くはない。静かな街の通りを行く。

愛想の良い番台に450円を渡して脱衣所へ。時短要請のそれか冷蔵庫には酒類が見当たらなかった。何年か前まで脱衣所では煙草も吸えたし、別段話す訳じゃないがその辺の爺さんとなんというか一体感のようなものがあった。多分俺が勝手にそう感じていた。

日曜の夜、湯煙と裸体。温室には暑さに耐える険しい顔が並び、砂時計を睨みつけては互いを牽制するようだった。俺は熱い湯に首まで浸かり、妄想駆り立てられる声が女湯から聞こえてくることも無く、爺さんのダルダルの金玉が目の前で揺れる!刺青者は見当たらない。股をタオルで隠す奴はダサいな。大衆風呂にいると日々を悩ます事の殆どがどうでもいい気がしてくる。図鑑のように様々な金玉がうろつく場所で一体何を悩めば良い?

3月15日 午前中、仕事の雑用で法務局へ行った。代理人としての簡単な用事だったが俺には法務局が一体何の為に存在する場所なのか全く分からないまま係員の指示に従う。何の心象も得ないまま建物をあとにする。寂れた喫煙所で一巻きを喫む。

荒神口、この橋の下で昔ホームレスの爺さんと友達になった。魚みたいに綺麗な目をした男だった。一緒にバスに乗っていた時、優先席で携帯を触る女子学生を彼が大声で怒鳴り散らしたことがあった。一般的な生活を捨てても、他人への関心を失わない人だった。定食屋に一緒に行った時は残った白飯に味噌汁をぶっかけて一気にかき込む姿が妙に格好が付いていた。何年か前の大雨で賀茂川が氾濫し彼の住処は流されてしまったようだった。海賊の根城のようなイカした家だったが。

今でも近くのスーパーのイートインコーナーでごく稀に彼を見かける。今度酒を持って行って、俺のことを覚えてなかったらまた最初からやり直そうと思う。確かストロングゼロのレモンを好きでよく飲んでた。こんなことを思い出したら数日風呂に入れなくてもどうだっていい気になる。

17日 朝から朝倉氏とリモートミックスを開始。リモートと言っても電話で意思疎通をして朝倉氏が作業を終えたら一度電話を切りデータの確認をする、という流れの繰り返し。それを何度も何度も。気付けば13時だった。通院から戻ったtedがパスタを作ってくれた。朝倉さんと最後の電話を終える頃にはパスタはもうすっかり冷え切ってしまっていた。

最近は野外描画をしている。外に画材を持ち出して冬の終わり春の始まりの中、気の向くままに描くんだ。モチーフを決めたら必ずそれ通りには描かない。実際には見えないモノ、色、それらは筆が教えてくれる。

パスタを食ったら御所まで出て行って描き始めた。パレットは牛乳パックを洗って切ったやつ。思っているように描けない時はそもそもの思うということを辞めなければならない。忘れてしまいそうになる初期衝動へ敬礼。塗り潰されていく白紙にさようならと。ナメた演奏をするバンドを俺が嫌うように、画紙と絵具を畏れてみよう。

23日 仕事は休み。夕方からカイシュウやNo Funの皆んなで飲む予定。それまでの時間は風呂に費やす。15時の開店と同時に向かった。サウナと水風呂を行き来したり脱衣所でボケっとしたり17時までそんなことを繰り返していた。