low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

いつも通る道に小さな洋食屋がある。さっき夜中を歩いて帰っていた時、店主らしき爺さんが丁度入口を施錠するところだった。ちらと中が見える。古い店だが店内は驚くほど掃除が行き届いていて、机の上に整頓された椅子、深いニスが輝くような床、暖かな照明、一瞬の景色だったが吸い込まれそうなほど集中力を持つものだった。洋食は嫌いなので多分行くことはないと思うけど、爺さんの真心が溢れ返るような店なんだろう。

先日、ライブが終わって若い男が3人ほど話しかけてきた。貴方はいつかステージ上で死にそうですね、と。

そうだね。やってる時は死んでも良いけどね。

俺はそう答えながら着替えをリュックから取り出そうとしている自己矛盾に笑った。

昔、モノサシは一つだと思っていた。それで測れないことは破壊しても良いと信じていた。今は新しいモノサシを幾つか持つようにしていて、この世の物事は殆どが破壊されるべきだと思っている。

人と感情を共有するということに苦手意識がある。苦手というか嫌悪感に近いものだ。今朝八百屋で梨を二つ買って冷蔵庫に入れようとした時手が滑って一つが床に落っこちた。表面が割れて汁が飛び散り、クシャっという妙に良い音も聴こえた。

明日はライブで、来週は泊まりがけでnostosへミキシング。その週末もライブで、多分それぞれに印象深い出来事があるのだろうが、俺という人間はどうしてか今朝潰れた梨の方が後生忘れられないでいそうだ。それが何故かは本当に分からんが。