low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

22日は岡山に居た。11時半に京都を出て途中兵庫を抜ける辺りでトンネル火災による通行止めで高速を降ろされる。激しい雨も降ってきた。遠征中は車に揺られながらゆっくり長い時間をかけてその日を意識できる。それが俺にとっては良かったりする。

先日とある先輩がメッセージをくれた。その中に「夜は圧倒的に若者のものだ」という一文を見た。若者、とは何だろう。昔サイケデリックという言葉や文化に興味を抱いた時期があった。幻覚は心をノックしない。俺の場合、弱さは別にあった。

音楽や服や飯もそうだ。自分が満足出来るものがこの世に存在しないから自分で作る。ただそれだけのこと。自己表現という崇高さには辿り着けないまま、最終的解決の無い飢餓感を抱き歩む者を若者だと形容するかもしれない。あらゆるもの、自分で作るって本当は何だろうな。言葉は借り物だという詩人の声がどこからともなく聞こえてくる。

ある夜、山科駅で電車を待ってた。薄汚れた待合室で俺は缶チューハイを飲みながらぼうっとしてる。同じく電車を待つ人々は皆すっかり一日に疲弊し一様に俯いてる。その中の一人若い金髪の女が突然鼻をほじくり始めた。彼女に取っては携帯の中だけが彼女の世界で、向かいのベンチから誰かが見てるなんてまさか信じられない空想に等しい事なんだろう。そうこうしてると湖へ向かう電車がやって来て、寂しい駅が眩しく照らされる。これから目的地まで1時間ちょっと。もう一本酒を買っておいても良かったな。

えーと、22日は岡山に居たんだっけ。IMAGE(イマージュ)というライブハウス。リハ前に2階の楽器屋に寄ってみた。俺はここ何ヶ月アコギのピックアップを探してた。中古で面白そうなものを見つけた。遠征先で見つけたものはつい買っちゃうね。ネットの口コミばかりアホみたいに読み漁ってても結局は店先で出会うものが親しみ深い。リハが終わってハコに併設されているバーで飲み始めた。No Funメンバーが1人ずつ増えていく。その都度に乾杯をしていると気分も上がって来た。俺は飲み過ぎないよう気をつける。

イベントが始まって、俺たちの演奏も終わった。遅くまで残ってくれた岡山の人達には感謝だ。IMAGE、岡山はNJの地元で彼がギターを習った先輩達が居た。NJは一日中とても楽しそうだった。出番最初、女子高生のバンドがやってた。ギタリストのコシのある歪みが聞こえる。この街のギターというのが確かに存在しているんだと思った。脈々と受け継がれるもの、その場所に染み付いている音。若者って何だろう。そういうものをぶち壊したい衝動の中に生きる者だろうか。はたまた渦中を夢幻に泳ぐ者か。イベント中何度か表を歩いてた。終演してからも煙草を吸いに何度か出る。水溜りと鉄板焼き屋の男女、狭い寿司屋のカウンターで眠たそうな爺さん。この夜、静かな雨だった。

耳を鍛えると社会や集団の大きな声は聞こえて来ない。多数派の魔力に決して屈しない。この先も自分自身を奮い立たせ続けれるかどうか。さっき帰宅中急な雨。この最近に多い。西大路御池の交差点、汚い喫茶店の軒下で見知らぬ爺さんと雨宿りをしてた。一向に止まないので俺は折り畳み傘を出して再び自転車を漕ぐ。家に帰った瞬間に稲光と雷鳴が始まった。今夜を保有したのは爺さんの方だった気がしてきた。

写真は岡山IMAGE付近の表通り。昼間出歩かなかったせいで右も左もよく分からないままだ。

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