low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

 

30日、俺には久しぶりの日曜休日。tedは転職の面接で街へ出ていた。正午くらいに合流する。彼女を待つ間、俺はファーストキッチンへ入りアイスティーを注文した。それを半分も飲まぬ間に店内の強過ぎる冷房で俺の身体はすっかり冷えてしまった。もう何年も冷房をつけない生活をしているからか、身体が冷気に弱くなってるようだ。夏にはこういうことがよくあるから俺は長袖を持ち歩くようにしている。カバンに押し込んでたアナーキーシャツを羽織り、もう全く要らないアイスティーをすすり続けた。

夕方には豪雨があった。街から戻るバスから降りると傘も吹っ飛ぶ暴風雨で、見ず知らずのオバさんと雨宿りをした。俺たちは可笑しくなって笑う。もうズボンはびしょ濡れで傘なんて何の意味も無い。ああなるとどうして可笑しいのかね。バンドのライブには近いものがある。全てどうでも良くなり、重圧や恐怖と隣り合わせだが無性に無敵な感覚。不思議なことにすぐ向こうの空は嘘みたいに晴れ渡っていた。家に戻って、俺は苔を取りに再び表へ出た。その辺の苔を拾ってきて瓶に詰めて鑑賞すると気分が落ち着く。それを見ながら一杯やるのもいい。苔には深さを感じる。花には刹那を。

レコーディングが終了してから一度バンド練習をしたが、それからもう1週間以上経つ。ピアノガールのメンバー達とあまり顔を合わせて無いような気がする。俺達は一旦休息を取るのさ。俺の音楽を信じていてくれる男達。焼酎は緑茶で割ると美味いよな。煙草が無くなったら幾らでもやるよ。金も貸すさ、必ず返せよ。その音はイケてるね。上手になったな。あの女がどうしたって?飯を食いに行こう。俺たちなんてそんなもんさ。大したことなんてやってない。俺はこの何年かで思ったね。バンドをやる連中が他者に向けてやり始めたら終わりだね。どこまで行っても向かうべきは己よ。己の胸に拳を散らすんだ。俺達が輝けるとして、それは世界から光が消えた時の為。お前の道はお前で照らさなくちゃならん。ピストルズは言った。勝手にしやがれ。そうだね、俺も勝手にするよ。唄に救いは無い。俺としては有る。それは当然。それも計り知れなく有る。俺の唄は結局のところ俺しか救えない。戦争が起こったとしてパンクなんて、ましてやバンドなんて、それが誰を救うんだ?飢餓が来て、音楽を聴いて腹が膨れる?答えは言わなくても解るだろう。だが、それが自分の音楽だったらどうだろう。

自分の唄、自分のギター、自分のベース、自分のドラム、自分のピアノ、自分のパンク、''自分が出した音''だけはお前を救うかもしれない。

考え過ぎだと思うか?俺はそういう人間だ。