low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

9月24日 長浜に住む後輩に釣りに連れて行って貰う予定をしていたがtedの体調が優れず、天気も大荒れとのことで中止に。釣ったイカを防波堤の上で食いたかったんだがまぁしょうがない。

京都は快晴だった。昼間に家を出て歩いて三条商店街を目指す。途中、通りすがりの人間やぶつかってきたオッサンをどうしたら上手く殴り倒せるかなんて話をtedとしてた。実際にそんなことする訳ないんだが。

商店街に着く頃には空腹で、汚い喫茶店に入ることにした。昔この近くのゲストハウス清掃の仕事をしていた頃よく行った店で、店内にうず高く積まれた荷物がちょうど店員から目隠しになってなんとなく落ち着くんだ。俺は洋風焼肉という謎の飯を注文した。冷房は寒い。グリンピースも残さず食って食後のコーヒーを飲む。煙草も吸える良い店だ。

商店街の縦筋を少し南に入ったところに展示場はあった。80年代京都のアバンギャルドサブカルチャーを代表したアマリリスというバンドのボーカル、アリスセイラーさんの展示会だった。俺たちは今日まで彼女のことを知らなかったんだが、tedの職場の上司が彼女の映像作品に携わったとかで紹介されたらしい。軋む木の階段を登ったところ、蒸し暑い屋根裏部屋が展示会場だった。

知らなかった京都の音楽の歴史。異端で異形で面白い。そうこうすると本人がやって来て、tedと話し始めた。俺は壁に貼ってある歌詞を読んでた。夏が残った屋根裏部屋には妙な音楽が流れていて、それが一度止む度に怖いほどの静けさに襲われるようだった。壁の歌詞はたった数行のものが多かったがこちらの妄想を猛烈に駆り立ててくる。tedはポストカードを、俺はCDを買って帰った。

商店街には公園があって多くの子どもが騒ぎ、彼らに降り注ぐ陽射しは手に取って触れるようだった。たこ焼きを買って俺はビールを一杯だけ飲む。煙草は吸わないようにする。こういう場所ではつまらんそうな顔をしている子どもを見てしまう。多分本人は楽しくて、周囲も気にも留めていなくて、俺はどうもそんな風景が好きだ。

帰宅してからNo Funの次の作品のジャケットを描き始めた。前回と同じく、曲から貰ったイメージを絵に描いてみる。昼間買ったCDを流していた。いなかの朝、という曲が良かった。絵の具の白色が無かったので自転車で近所の画材屋へ買いに出た。画材屋は友達の実家で、彼はもう結婚して子どもと奥さんと此処ではない何処かで暮らしている。

出来上がった絵は納得いくものではなかった。まだ産まれ来ないだけだ。''考えて''しまう内は良くない。俺は絵描きじゃないんだから。そうこうしてたらジャスミン茶で煮ていた鶏肉が出来上がったようだ。絵の具で汚れた手を洗って夕飯の準備を始めた。