low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

昨夏、山口県宇部市への遠征の記録。そして今でも鮮明に覚えている冬の入り口を散歩した時のこと。

2017年8月6日、山口は宇部でのライブを終え今は朝の9時。京都に帰ってきた。
Dr.ファイターの家で皆で横になっている。
さっき俺は黙祷をした。ちょうど72年前の今日の悲劇へ。
酷く疲れていて、ぼうっと天窓の光を見ている。

宇部に俺たちを呼んでくれたのは17才の女の子だった。記憶が正しければ彼女が中学生の頃にピアノガールのライブで出会っている。
それから下関大学でライブをした時に初めてちゃんと話をした。
そして今回、自らの企画で俺たちにステージを与えてくれた。
他人の企画にどうのこうの言うつもりはないが、動員は多い訳では無かった。
彼女はそれでも帰り際俺たちに金をくれた。
山口はやはり遠い町。助かる。
それに、気持ちが込もった金だ。
音楽は金じゃない。俺は良く知ってる。
感動的な夜と比べると金なんて糞みたいなもんだ。
だが少し前、とある街のイベントでその主催の人間に俺は裏切られた。
俺からは決してしないが、約束事としての金の話が俺たちの間に事前にあった。
当然。大人同士だもの。
にもかかわらず、俺たちは簡単に裏切られた。
高校生が自腹を切って気持ちを包んでくれたというのに。
音楽の世界だけは社会の縮図であって欲しくないのに。
OK、もう分かった。俺はそういうことも知ってる。
嘘吐きの汚い大人が酔っ払って不義理をするなんてこと、俺はよく知ってる。
諦念にも似た感情が空っ風のように吹く。アホくせぇ。
偽物の情熱が子どもを騙せば戦争の引き金にもなる。

さて、何の話だったっけ。
宇部という街は寂しい感じがするが真夏の似合う街。
潮風のせいか、街のあらゆる箇所が錆びついている。
渋滞気味の関西圏をのろのろと走り抜け、宇部に着いたのは15時だった。
車から降りると猛烈な暑さ。
熱されたアスファルト
そのままリハーサルをやる。俺はサンダルだった。
今回はラッパーの火暗しとW.H.CのBa.ゲンタが同行してくれていた。
皆で缶ビールを飲みながらイベントスタートを待った。
‪若いバンドが一番手を担当する。‬
‪下手くそだが自分達の30分間を何とか楽しいモノにしようとする姿があった。良かった。‬

 

写真は宇部のステージで演奏をする俺たち。この時はまだ豪の加入前で鈴木章吾(ショウちゃん)がベースを弾いていた。

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‪・・・・・‬
‪と、ここまでを書いて数ヶ月が経った。‬
‪今は11月24日。深夜。‬
‪俺はやはり自分と語ってみる。‬
‪なるべく多くの人へなどもう考えない。‬
‪どうにでもなれ。糞ったれたまま変革を信じてやる。‬
‪間違ってるのは自分か世間か、俺には分からん。‬
‪騙し騙しでやってるのは何処のどいつだ。‬
‪いずれ‬じゃなくたった今、全ての辻褄が合わなくなり商業主義はぶっ壊れるよ。
その時お前はどんな顔をする?
アホみたいに口を開けて?
まるで家畜が鳴くみたいだな。
俺はただ人間で在ろうとする。
表面的な連中だらけで今日も明日も明後日も俺には絶望そのもの。
何にも心が通わず、皆んな寂しい顔。
血色は無い。嘘だけが有る。


冬の厳しい寒さがすぐそこまで来た。
昨日散歩の最中、古い民家に一匹の雌犬を見つけた。
彼女を撫でながら飼い主のじいさんと話す。

ばあさんが急に死んで、今はこいつと2人きり。
自分の飯もろくに作れないのに、犬の世話までしなくちゃならん。
じいさんはそう言いながらも彼女を優しく抱き締めていた。
じいさんの家は小さかったが広い畑と大空のせいだった。
俺は久々に美味い空気を胸いっぱいに吸い込んだように思った。