low days

Kyoto Japan No Fun / PIANOGIRL vo. diary

無題

18日。仕事は夕方から。昼の内に街へ出た。帽子の上からでも頭皮を焼きつけそうな日差し。眼球に傷が入ってからとにかく日中が眩しい。サングラスをかけていないと目を開けてられない。薬を貰ってから幾らかマシにはなったが。tedの誕生日祝いに何か買おうと一人街をうろついた。いい加減マスクは鬱陶しい。Julianが札幌で書いた曲には、マスクの隙間から黒い瞳が見えるというような詩があった。俺はその詩に適当にギターとメロディをつけて彼に聴かせてみたっけ。

8月19日 奈良県の破石(わりいし)町という所にある写真美術館へ行った。駅からバスに乗って奈良公園沿いを走る。降車したバス停から住宅地を15分ほど歩くと突然目の前に現れる建物がそれだ。目当ては或る登山写真家の展覧だった。彼のエベレストとK2(世界第2位の難峰)への山行を撮った内容だった。その多くは主峰自体を捉えたよくあるものだったが俺の興味を引いたのはシェルパと呼ばれるネパールやチベットの山岳民族を写したものだった。真っ黒に日焼けした顔、高地とは思えない軽装。普通の人間じゃないような感じがする。まぁこれ以上どうだったかなどの感想は此処では書かないようにする。良い写真展だった。外へ出ると14時頃で太陽は直上から、セミも鳴かないような(いや実際には鳴いてたと思う。森が多かったから。)通りを歩いた。志賀直哉の旧邸とやらを過ぎちょっとした林道を歩いて春日大社へ抜ける。鹿が増えてきて奈良らしい落ち着いた光景になる。それから駅前の古本屋でシェルパ族に関する本を見つけたので買った。帰りの電車で冒頭数ページを読んでいた。ホームの自販機の前ですっかり疲れたような男が何を買うか迷っていた。俺は彼がペットボトルのスポーツドリンクを押すと予想していた。しかし彼はほんの小さな300mlちょっとのお茶ボトルを買って行ってしまった。

20日 8時起床。そしてこれを書いている。一昨日買って帰った向日葵が一輪、ボトルに突き刺さってこっちを見ている。多分それは太陽を欲しがってる。半地下のこの家では陽射しが注ぐ場所は一ヶ所しかない。そこへ移動させよう。どんな花もそこへ行くとぐんぐんと背筋を伸ばし上を向いていく。

21時半を過ぎた。シェルパ族の本を読み進めている。あと数時間して今日を終わらせるかどうか、まだ決めかねている。振り返ってみると終始何も上手くいかない一日だったが。こういう日はさっさと眠るか、朝まで無茶苦茶するか。事情を抱えたあんたなら、も少し面白く出来るのかい。

f:id:pianogirl292:20200821174217j:image